相続人の一人が遺産、被相続人名義の預貯金を使い込み・横領していることは頻繁にあることです。特に被相続人と同居していた相続人が遺産、被相続人名義の預貯金を使い込み・横領していることが多いようです。このように被相続人の遺産である預貯金を使い込んだ相続人に対してはその返還を求めることができます。
・方法
遺産である預貯金の使い込みは、不当利得返還請求(民法703条)または不法行為に基づく損害賠償請求(709条)という形で返還を求めることになります。不当利得と不法行為の一番の違いは時効です。前者は行為の日から10年、後者は行為を知ったときから3年で時効にかかります。
・範囲
返還請求できる金額は、被相続人名義の預貯金を使い込み・横領した金額のうち、返還を求める相続人の法定相続分相当の範囲内です。
・証明
被相続人名義の預貯金の使い込み・横領の証明を証明するためには、横領や使い込んだことが分かる資料(通帳、預貯金口座の取引履歴など)が必要です。加えて、預貯金を下ろした人が被相続人以外であることも証明することが必要です。遺産、被相続人名義の預貯金を横領や使い込んだ人が被相続人以外であることを証明するためには、相続人が遺産、被相続人名義の預貯金を管理していなかったことを示す必要があります。たとえば、被相続人が認知症や寝たきりで介護が必要であった場合であれば、診断書、カルテなどが証拠となります。
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