契約不適合責任とは、契約の目的物に種類、品質、数量における瑕疵(欠陥のこと)がある場合に、売主に対して責任を負わせるものです。
責任の内容としては、目的物の追完、代金の減額、損害の賠償、契約の解除があります。
もっとも契約不適合責任には、免責という概念も存在します。
本ホームページでは、契約不適合責任の免責について詳しく解説をしていきます。
◆契約不適合責任の免責
契約不適合責任は、あくまで任意規定なので、特約によって免責することができます。
任意規定とは、民法における契約自由の原則を重視して、契約で別段の定めがなされた場合には、契約の内容を優先させるという概念です。
したがって、任意規定である契約不適合責任は、特約により排除することができます。
もっとも特約による免責があった場合でも、例外的に契約不適合責任の排除が認められないケースがあります。
民法572条は、特約によっても排除できない場合についての規定であり、具体的には以下の通りとなっています。
・売主が不適合を知りながら買主に告げなかった場合
売買契約の締結時に、契約の目的物に不適合があることを知っていながら、買主に告げなかった場合には、特約の適用外となります。
このケースでは、売主が取引の当事者として不誠実であり、免責による保護に値しないことから適用の対象外となります。
・売主自らの行為により権利に関する不適合が生じた場合
もう少し詳細に説明すると、売主自らが第三者のために権利を設定し、または第三者に権利を譲渡したことによって、不適合が発生した場合には、特約による免責を受けられないといったものになります。
これは不適合の発生に関する売主の責任が極めて大きいことが、理由としてあげられます。
また、買主が一般消費者であり、売主が宅建業者の場合には宅地建物取引業法、売主が事業者の場合には消費者契約法が適用されます。
宅地建物取引業法では、契約不適合の通知期間を2年以上とする特約を除き、契約不適合責任を軽減する内容の特約をすることが禁止されています。
宅地建物取引においては、一般的に消費者の立場の方が弱いとされているため、消費者保護の観点から、特約による免責が制限されています。
また、消費者契約法では契約不適合責任のうち、追完と代金減額に関する責任を免除する特約を無効と定めています。
◆契約不適合責任の注意点
契約不適合責任に関する注意点としては、なんといっても契約書に記載されている特約条項の見落としをしないようにすることでしょう。
重要な条項の見落としを防ぐためには、契約書レビューを専門家に依頼することをお勧めいたします。
また、規定されている条項自体が、免責ができないケースにも関わらず、免責が規定されているということもあります。
契約不適合責任を免責する特約は、一定の要件を満たすことで無効となってしまいます。
免責が不可能であるにもかかわらず、契約中に免責についての規定がある場合には、その部分についての契約内容を修正することとなります。
こちらについてもしっかりと専門家によるリーガルチェックを受けた方が良いでしょう。
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契約不適合責任の免責とは?注意点をわかりやすく解説
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